『誘』





封筒は二重封筒で、縦長。
会社で見た時は黒。
それが車に乗ってその封筒を見た時には白くなっていた。
「そんな事、あるわけないか…。」
会社の中は少々暗かったので、それで黒い封筒だと誤認したんだろう。


封筒には封はしっかりとされており、中身は確認できない。
これは家に戻ってから見てみよう。


とりあえず空腹を抑えきれなくなった私は封筒を手に車で家に戻る事にした。



〜車内〜

車のエンジン音だけが車内を支配する。
あいにく自分の車にはラジオとカセットテープを再生する機能だけのオーディオしか持っていなかった。
通勤時はいつもラジオで、車内にはカセットテープという古い物は車には乗り合わせていない。
自宅に行っても恐らく昔聞いていたカセットテープなんて既に棄てられているだろう。

アクセルを踏み込む。
車のエンジンは高らかに咆哮をあげ、スピードを上げていく。



〜自宅〜

…。

相変わらず住宅地には人の気配もしない。
自宅にも人の気配がない。



とりあえず何か食べよう。
冷蔵庫に何かあるだろう…。

…。

幸い冷蔵庫にはいくらかの食料はあった。
パンやインスタントの食品もある。
一週間程はなんとか暮らせそうだ。

自分の神経がおかしくならない限り だが。



インスタントラーメンの中にある粉末スープ、液体スープを入れお湯を注ぐ。
そして3分待つと出来上がり。
普段の風景と変わらない。
変わっているのは、ただ自分以外の全てが何も『無い』という事だけだ。


空腹だった為、食が進む。
麺をすする音だけが今、耳障りな悲鳴を打ち消してくれていた。



白い封筒…。
なんの変哲も無い、ただの封筒。
真っ白い。そうシロイ。
シロイフウトウ。

…気がおかしくなりかけてるのだろうか?
それともこの封筒が変なだけなのだろうか?
とても変な気分になった…。

とりあえず、封筒の封を開ける。
封筒の逆三角形の封を恐る恐るゆっくりと開けていく。
ハサミで切ったり、無造作に破って開けるのはあまり好きではないからだ。


…?
チラシ…?

『おいでよ!○○テーマパークへ!』
よくある広告のようだ。
見出しの下には、絵で描かれた笑顔の人となんだかわからないモノが描かれている。
なんだろう?これは。

チラシの裏を見てみる。



『来い』



…。

無音の悲鳴が、また…。








-あとがき-

実はもう何ヶ月前から出来上がってました。(待)
ただ、アップしてなかっただけだったり…(笑)
まぁ、第三話です。
○○テーマパーク!の○○内部は思いつきませんでした。
多分また書くと思います。
頑張ります。超頑張ります。