『黒い封筒』(第二話)



〜住宅地〜

沈黙を切り裂く足音。

コツ、コツ、コツ

自分の足音がこんなにもおかしくなりそうな精神を助けてくれている。

自分の足音さえ、響いて聞こえてきそうな静けさ。
いつもなら気ならなかった音ですら大きく聞こえる。


相変わらず住宅地を周ってみても人が居ない…。

「そうだ…、街へ行ってみよう。」


街なら少なくとも数人くらいは見かけるだろう。


「よし…!」
僕の声は遥か彼方まで届きそうな程、自分の住む住宅街に響いた。




〜車内〜

自分の愛車で街へ迎う。
エンジンの音が五月蝿く感じた。

購入してから4年。
車で出掛ける事は必要最低限していない。
通勤に使うくらいだ。

いつもと同じなのに…。
何故か今日は五月蝿く感じた。





〜街〜

ここは小さい街。
辺りがビルと昔ながらの商店で囲まれた、今と昔が混じり合っている街。

人がいつも居る所。
駅前に向かってみよう。





〜駅前〜

…いない。
人が全くいない。
いつもなら学校を自主休校した学生。
浮かない顔をし、持ち慣れた鞄を手にスーツ姿で歩く社会人。
私服の男性、女性。



駅前だと言うのにこの静けさはなんだ…?

街の息吹さえ感じさせない。

どうしてしまったんだ…。
とりあえず街を車で走ってみよう…。




〜車内〜

道路状況もおかしい。

灯っていない信号機。
来る事の無い対向車。
バックミラーに映らない後続車。

「そういえば…」

そうだ!
車にはラジオが付いている。
これなら今この街のおかれている状況がわかるはず…。

急いで車を止める。
念の為ハザードを付ける。
『カッチ、カッチ、カッチ』
無機質な音が車内に響く

プチッと音がした後に、『ザーッ』と嵐の音。

チャンネルを探す為、一つ一つ丹念に周波数を上げていく。


『ザーッ、プツ、ザーッ』


同じ音が繰り返し繰り返し響く。


…。


…ダメだ。
繋がらない…。


だが一つだけ、無音のチャンネルがあった。

1101…か。
一応記憶しておこう





〜車内(走行中)〜

いくら街を走っても、人も車も見当たらない。
仕方ない…。
空腹も抑えきれなくなってきた。

一度自宅へ戻ろう。



…その前に一応会社へ行ってみよう。
「無断欠勤は取られたくないからな。」

苦笑いを浮かべながら車を走らせる。




〜○○商事〜
2F 営業課

…やはり人の居る気配は無いようだ。

それどころか、いつもならデスクの上に乱雑に置かれている書類。それを纏めてあるファイル。電話すら見当たらない。

無機質極まりない机と椅子。
それだけが不思議な程、綺麗に整頓されてならんでいる。

自分の座っているのデスクの上さえも綺麗に片付けられていた。

「参ったな…。明後日まで提出する書類も消えてる…。」

不思議と焦りと言うものは無かった。



とりあえず自分のデスクだった場所に座り、引き出しを開けてみる。

3段目  何もない
2段目  何もない
1段目  …?
黒い封筒が入っていた。
黒い封筒なんて初めて見たが…。
なぜこんな物が僕の机に?
薄気味悪さを感じながらも手にとってみる。
家に帰ってから開けてみよう…。



全ての階を回り終え、人がいない事を確認した僕は一度、家に戻る事にした。



黒い封筒…。
これには何が入っているのだろうか?


会社を出て、車に乗り込む。
気が付くと黒い封筒は通常の白い封筒へ色を変えていた。










あとがき

これ書いてる時、普段止まらないPCが2回ほど止まりました。orz
イジメdeathか…?
なので、結局携帯で書いて、PCでウィルスチェックという状況に…。
結局2時間くらい掛かってしまいました。(´Д`;)
しかも前回との続き物なので題名を急遽変更しました。(ぇ
元々題名決めてから書くのが自分流なんですが、今回は色んなパターンが頭を過ぎりまして。(苦笑)
なので、一旦全体的な題名は『不詳』という事にしときます。
もっと文才が欲しいです…。